防蝕のグランドについて

グランドを作る

腐蝕版画におけるグランドを自作している人は余り居ないかも知れません。多くの人は市販のものを使用していると思います。例えば、シャルボネール社製のものなどを。銅版画を始めた頃に技法書を参考にして何度か作ったことがあります。しかし、同じような配分で作っても気に入るものができませんでした。これは使用する材料に天然のものを使うこともあって異なるのだと思います。そして、気がついたことがあります。日本の技法書に書かれている材料の配分がどれも同じなのです。また、アメリカはアメリカで同じような配分です。すべてを調べたわけではないので断定はできません。

それで、自分なりに幾つか配合の異なるグランドを作ってみました。私が思いに使用するのは線による仕事です。ですから、どのような仕事をするかによっても違ってくるかもしれません。尚、配合には精度の高い電子はかりを使用しています。

小さな深鍋で調理しました。一度材料を溶解させ、それを冷却してしばらく置き、また過熱して溶解するということを何度か繰り返します。最終的には固まったグランドを少しだけ温めて固形の状態で取り出します。または、溶解して小さなアルミの飲料容器に移して冷めてから容器を切り取って取り出します。

固形のものは粉砕して純テレピン油あるいはホワイトガソリンを注いで放置して溶解しています。また、加熱調理をせずに材料を混合したまま溶剤を注いで様子を見ました。ただ、いずれもデータをまとめ写真を撮る段階で、版画制作に興味がなくなりそのまま放置して今日に至っています。それで、技法書にはグランドの章が抜けています。そのようにして作ったものが写真にあるグランドです。長年放置した所為で液体からゲル状態になっています。機会があれば使用したいと思っています。

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