改訂中抜粋 銅板を切る.pdf [技法書]
銅板切り / 日本製とアメリカ製
「ビュラン 研ぎと扱い方」の改訂中からの抜粋です。『改訂中抜粋 銅板を切る』の6頁です。ここでは、銅板を切る専用作業台を用いていますが、もし作るなら銅板切断及びプレートマーク作製の兼用台の方が良いと思います。
改訂中抜粋 銅板を切る.pdf
2020.08.11
タグ:技法書抜粋 銅板を切る
アクリルカッターの刃先の加工 / 改訂中より抜粋 [技法書]
ダイヤモンドヤスリでの替え刃の加工
銅版画制作では銅板を銅板切り(引っかき)を用いて切るのだが、購入したままの銅板切りはそのままでは扱いにくい。刃自体に厚みがあり、実際に切り込むと抵抗を感じる。そして何よりも、刃物は使用することでどうしても研ぎが必要になる。
銅版画を始めたころは、その研ぎが上手くいかずに思うように切断することができない。私もそれで銅板を幾枚か無駄にした。研ぎを理解していないかった為に、銅板切りをむやみに研いでしまい刃先を短くしてしまった。また、しっかり研いだとしても、単純に手で銅板と定規を押さえた状態では無理である。やはりしっかり固定して行うべきである。そのようなことで研ぎを覚えて銅板を切ること自体が楽しくなるはずだ。
しかし、研ぎを覚えたりしなくても簡単に切り取ることが出来ないだろうか、そのようなものを作れないだろうかと云う思いでアクリルカッターを用いてみた。このアクリルカッターで銅板を切る作家もいるが、そのままでは厚みのある銅板は切ることが出来ない。薄い銅板ならある程度刻むというか、筋を入れれば切り取れるかも知れないが、余程深く入れないと折り曲げる際に銅板の切り口を曲げてしまう。それでは銅版画には不向きな板になってしまう。
アクリルカッターで銅板を切るには、銅板切りと同じように刃先角度を30°前後に加工する必要がある。そのアクリルカッターには、替え刃式のものと一体型のものがある。やはり替え刃式の方が刃先を作り変える段階で失敗しても別の替え刃で作り直すことが出来る。また、メーカーによっても刃の厚みや形状が異なるので、試しに用いてみて好みのものを選ぶと良い。
できれば、銅板切りの形状で替え刃式のものを製造販売されないだろうかと思うが、需要などの問題で無理だとも思う。
写真は異なるメーカーのアクリルカッターの刃先角度を加工したものになる。上下二つは替え刃式のものだが、中の青いものは一体型のもので、使い切りのものになる。また、刃の厚みは下二つが少し厚い。
加工した異なるメーカーのアクリルカッター
それぞれ刃先角度を30°に作り直すのだが、まず最初に刃先の前のV字になっている部分をダイヤモンド刃物研ぎ機で削り落とす。写真上は刃の加工前のものである。その下がV字を落とした状態になる。
替え刃の加工
写真は30°の印をつけるための治具になる。刃にマスキングテープを貼り、30°の削る印をしてその削る部分を剥がす。削るにはリューターを用い、その後ダイヤモンドヤスリで整える。下が30°に加工した替になる。因みに、アクリルカッターの刃先の角度は70°である。
また、ダイヤモンド刃物研ぎ機及びリューターの工具が無い場合は、刃先のV字の部分はダイヤモンド砥石#400、あるいはオイルストーンの黒い層の粗砥で落とすと良い。そして刃先の加工は少し時間がかかるがダイヤモンドヤスリで行う。
替刃に30°の印をつける治具
ダイヤモンドヤスリで削る
(2020.08.30 / 23:00 にて削除)
タグ:改訂中技法書抜粋
「銅版画制作における備忘録」について [技法書]
銅版画の技法書とは別に執筆中だった「銅版画制作における備忘録」を整理して纏め直しました。これは以前の「ビュランの研ぎと扱い方」と一緒に纏めていたものから割愛したものです。「ビュランの研ぎと扱い方」と一部重複するかもしれませんが、写真を追加し、文書を新たに書き直しています。頁数は73頁になります。尚、このpdfには、"しおり"はつけていません。
銅版画制作における備忘録の裏表紙変更 [技法書]
銅版画制作における備忘録の裏表紙
「銅版画制作における備忘録」の最終頁において、「究極の研ぎ」として述べている文章の写真です。今朝の陽ざしで撮っています。尚、裏表紙になります。
小さなアーカンサス仕上げ砥石を追加しての撮影です。大きなものと粒度は同じですが、刃返りを取る度に手前に寄せるのは面倒ですので、刃返りを取るだけに使用することにしました。砥石台は合板を貼り重ねてスプレー缶で塗装しています。
ビュラン研ぎ器を作ってからかなり経ちます。その研ぎ器の作り方及び使用については、「ビュラン研ぎと扱い方」、そして「銅版画制作における備忘録」をお読みください。今は研ぎ器の販売は行っていませんが、工夫して自身で作るのも良いかと思います。
このビュラン研ぎ器で使用する砥石についての写真は、私にとっては「究極の研ぎ」なのですが、他の人には全く関係のない写真です。
長年ビュランの研ぎ、または研ぎ器を用いての研ぎに多くの時間を費やしてきました。そして、こうして書いていて思うのは、もう、銅版画やビュラン、その関連のことはさんざん書いてきた気がします。それで、インスタグラムをやめたようにブログももうよいのではと云う感じです。同じことの繰り返しです。誰も読みはしない、それは仕方ないのですが、自身の整理としての役目としてももう十分な気がします。それに、ちょうど良い節目かも知れません。
※ ビュラン研ぎと扱い方 pdf 85頁 / 24.6 MB
※ 銅版画制作における備忘録 pdf 78頁 / 29.0MB