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アクリルカッターの刃先の加工 / 改訂中より抜粋 [技法書]

ダイヤモンドヤスリでの替え刃の加工.jpg
ダイヤモンドヤスリでの替え刃の加工

銅版画制作では銅板を銅板切り(引っかき)を用いて切るのだが、購入したままの銅板切りはそのままでは扱いにくい。刃自体に厚みがあり、実際に切り込むと抵抗を感じる。そして何よりも、刃物は使用することでどうしても研ぎが必要になる。

銅版画を始めたころは、その研ぎが上手くいかずに思うように切断することができない。私もそれで銅板を幾枚か無駄にした。研ぎを理解していないかった為に、銅板切りをむやみに研いでしまい刃先を短くしてしまった。また、しっかり研いだとしても、単純に手で銅板と定規を押さえた状態では無理である。やはりしっかり固定して行うべきである。そのようなことで研ぎを覚えて銅板を切ること自体が楽しくなるはずだ。

しかし、研ぎを覚えたりしなくても簡単に切り取ることが出来ないだろうか、そのようなものを作れないだろうかと云う思いでアクリルカッターを用いてみた。このアクリルカッターで銅板を切る作家もいるが、そのままでは厚みのある銅板は切ることが出来ない。薄い銅板ならある程度刻むというか、筋を入れれば切り取れるかも知れないが、余程深く入れないと折り曲げる際に銅板の切り口を曲げてしまう。それでは銅版画には不向きな板になってしまう。

アクリルカッターで銅板を切るには、銅板切りと同じように刃先角度を30°前後に加工する必要がある。そのアクリルカッターには、替え刃式のものと一体型のものがある。やはり替え刃式の方が刃先を作り変える段階で失敗しても別の替え刃で作り直すことが出来る。また、メーカーによっても刃の厚みや形状が異なるので、試しに用いてみて好みのものを選ぶと良い。

できれば、銅板切りの形状で替え刃式のものを製造販売されないだろうかと思うが、需要などの問題で無理だとも思う。

写真は異なるメーカーのアクリルカッターの刃先角度を加工したものになる。上下二つは替え刃式のものだが、中の青いものは一体型のもので、使い切りのものになる。また、刃の厚みは下二つが少し厚い。

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加工した異なるメーカーのアクリルカッター


それぞれ刃先角度を30°に作り直すのだが、まず最初に刃先の前のV字になっている部分をダイヤモンド刃物研ぎ機で削り落とす。写真上は刃の加工前のものである。その下がV字を落とした状態になる。

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替え刃の加工

写真は30°の印をつけるための治具になる。刃にマスキングテープを貼り、30°の削る印をしてその削る部分を剥がす。削るにはリューターを用い、その後ダイヤモンドヤスリで整える。下が30°に加工した替になる。因みに、アクリルカッターの刃先の角度は70°である。

また、ダイヤモンド刃物研ぎ機及びリューターの工具が無い場合は、刃先のV字の部分はダイヤモンド砥石#400、あるいはオイルストーンの黒い層の粗砥で落とすと良い。そして刃先の加工は少し時間がかかるがダイヤモンドヤスリで行う。

替刃に30°の印をつける.jpg>
替刃に30°の印をつける治具


2 替え刃の加工.jpg
ダイヤモンドヤスリで削る


(2020.08.30 / 23:00 にて削除)


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