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銅板切断、プレートマーク製作の兼用作業台 3 [銅版画の道具と材料]

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銅板切り台として使用

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プレートマーク製作台として使用

この業台についての記事は、同じような内容で他に専用作業台について書いた二つの記事があります。それらよりも兼用作業台の方がアクセスの多かった記事です。再度掲載するにあたり、大幅に文章を書き直しました。

ところで、銅板は自身で切断されているでしょうか。もし読まれて興味がありましたら、ぜひ自身でもお作りください。技法書に添える文章を書くために作業台を作りましたが、二台とも私の手から離れてしまいました。私は最初に作った専用のものを使っています。それらを作ったから、兼用のものを作ることができました。

上の写真がそれぞれ使用する際の兼用作業台の向きになります。ですので、これ一台があれば銅版の準備あるいは仕事後のプレートマーク(斜断面)を整え直すことができます。とても重宝する作業台だと自負しています。

銅板を切るにはアクリルカッターではだめですが、カッターナイフで切る人も居るようです。人それぞれです。そのアクリルカッターですが、替え刃を作り変えれば十分銅板を切り取ることができます。アクリルカッターの替刃の方が、刃の厚みが一定なので切込み幅も同じになります。と言うことは、表裏から切り込んだ際に同じ位置で切り込めることになります。



以下は銅板を切る際の作業台の簡単な説明になります。興味を持たれましたら、自身で作ると良いと思います。販売するのでなければ、見た目が悪くとも使えればよいのですから。それに、ここで説明しているものよりも、もっと良いものが出来るかも知れません。この作業台については、別の記事の専用作業台についても併せてお読み下さい。


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1.切断とプレートマークが作れる兼用作業台の製作

銅版切断とプレートマーク製作が一台でできる作業台の製作途中です。底板の一部を欠いているのはC型万力が当たらないようにの配慮です。内側の底板と天板の高さも、万力で止める際に底板に触れない程の隙間が必要です。写真では中板としてベニヤ板2枚を貼り合わせたものを使用していますが、これは適当な厚みのある角材を配置して高さを揃えても良いでしょう。その方が簡単で、また重さも軽くなります。要はC型万力が使える高さを確保できれば良いだけです。


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2.天板を取り付ける

天板の溝は銅板を万力で止めるために必要なものです。この後、木工用ボンドを少し薄めて塗り、乾燥後に毛羽たちを紙やすりで取り除きます。必要なら、何らかの塗装をします。天板お隙間を縦で使用すれば銅板切断に、横にするとプレートマーク製作に使用できます。尚、天板は接着しないでビス止めのままにしておけば、後で高さ調整、あるいは天板の交換ができます。


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3.作業台の裏側

作業台の裏側になります。四角に切り欠いているのはC型クランプを取り付けるためのものです。ここでは、100×40㎜の大きさで切り欠いています。



銅板を切る
銅版画に手を染めた時に、最初に躓いたのが銅板を切る作業です。幾冊かの技法書を手にして真似て見ましたが、どうしても切断できませんでした。その原因が分かったのはしばらくしてからです。銅板と銅版切り(引っかき)を沿わすガイド定規をしっかり固定すること、その銅版切りの研ぎ角度と研ぎが解っていなかったことが原因です。それで、不要な銅版をもらい試し切りを何度も行いまいた。

やはり、単に片手で銅板と定規を押さえながら切り取るのは無理です。また、銅板切りでは無くアクリルカッターを用いた切断を説明しているのを見ますが、これは用を成しません。しかし、そのアクリルカッターも先ほど述べましたように、替え刃を作り変えると十分使えることが分かりました。これについては別に述べたいと思っています。

使用する銅板の厚みも問題で、多くの制作者及び作家が使用している銅版の厚みは1ミリが多いと思います。しかし、私が作業を通して得た厚みは1.2ミリです。この0.2ミリだけ厚いということは数字ではどうと言うことは無いのですが、実際に銅板を切ってみるとその違いに気づきます。もちろん制作においてもそれは云えます。

自身で銅板を切ることができないのは仕事において不利です。画材店などで規格品として販売されている銅板は、大きさもそうですが厚さも限られています。それに金属店で購入するよりも高価です。銅版画を始めた最初はそれでも構いませんが、別のことからも自身で切ることが望ましいと思います。

金属店で購入するとしても、最初はそこで切ってもらうと良いでしょう。画材店で求めるよりも値段的にはかなりの違いがあります。練習すれば案外簡単に切断できます。独りで制作をしているなら尚更です。購入しても望む大きさと違ったり、不注意で角を曲げたときなどは、すぐさま切り取ることができます。銅板を切ることができるようになれば、その作業自体が愉しく感じられます。

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4.印した切断線にスチール定規を当てた状態で固定する

銅板は手前に作業台の縁から少し出るように固定します。銅板切りは刃先を寝かし気味で一気に手前に引きます。何度か経験すればすぐにコツを覚えられます。表面の切り込みは深ければ深いほど良いのですが、一定の深さになると銅板切りが思うように動かしづらくなります。刃先の角度を浅く取るなどして切り込みを入れます。尚、スチール定規は軽く両面テープを貼り、銅板に留めると扱いやすくなります。

銅板の切り込みは、できれば銅板の厚みの1/3程の深さを表裏から切れ込みます。しかし、上部がどうしても切り込めないで残ります。それで、銅板の向きを変えて固定し、切り込みの残りを引っかきます。

なぜそれが必要かというのは、表裏を切り込んで折り曲げて切り取る際にその部分だけがねじれてしまい、もし切れたとしても曲がってしまい平滑ではなくなるからです。

銅板切断については、ここの説明以外に次の「銅版画技法」の『Ⅰ-1銅板を切る』を参照して下さい。


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5.引っかききれなかった上部を切り込む

銅板の向きを変えて固定し直して、切り込めなかった上部を切り込みます。こうして向きを変えると切り込めなかった溝も更に引っかくことができます。

片面が終わったらもう片面も同じように切り込みます。念を入れて十分切り込んでおくと折り曲げが簡単にできます。


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6.作業台の縁に定規を沿わす

十分切り込んだら上下にゆっくり折り曲げます。この時にスチール定規を両面テープで貼り付けているので、そのスチール定規を作業台の縁に合わせます。簡単に切り取れると思います。

銅板に切込みが不十分で無理に曲げると取り返しのつかないことになります。それで切り込みは念を入れて行います。また先にも述べたように、一部が切り込みできずに残ってると、切断できたとしてもその部分はねじれてしまいます。


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7.上下に数回慎重に折り曲げる

しっかり切り込んであれば3、4回で折り曲げるだけで間単に切り取れます。


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8.切り取った銅板

良く研がれた銅板切りでしっかり固定して繰り返し行えば、直ぐにコツをつかむとことができ間単に切り取ることができます。しっかり切り込まれた折り曲げる側が重ければ、自重で自然と折れます。あるいは、2、3回折り返すだけで綺麗に切断できます。


プレートマークを作る

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プレートマーク作業台として使用する

銅板の切断を終えたら切断口にヤスリを掛けて整えます。大きな銅板ならディスクグラインダーを使用しても良いかもしれません。その後にプレートマークの製作になります。

プレートマークの製作では、作業台の向きを変えてFクランプで固定します。作業台の縁から銅板を少し出し、傷防止の厚紙を当てて万力で固定します。写真では作業台の中央辺りに固定していますが、どちらかの端の方が良いでしょう。

小さな銅板ならヤスリは細目だけで十分です。そのヤスリで周囲を落として斜断面にします。また、写真にある銅板よりも小さな場合は押さえの板を重ねてC型クランプで固定します。

ヤスリ掛けは、銅板の下に受け皿としてゴミ箱やビニール袋で、削りくずを受けるなど工夫すれば部屋を汚さずに済みます。ヤスリ掛けが終えたらスクレーパーでヤスリ目を削り、更にバニッシャーで平滑になるように均します。


メッキを施したニコルソンのヤスリ.jpg
メッキを施したニコルソンのヤスリ

上のヤスリはニコルソンの細目と粗目の幅が異なるもので、いずれもメッキを施しています。このメッキのヤスリはとても切れがよく、目詰まりしません。ずいぶん前に注文して作ったものなので、たぶん今はメッキ加工をするところが無いかも知れない。知人からは道具道楽のように揶揄されましたが、とてもよく切れる優れものです。


※ 参考資料
兼用作業台を作る.pdf
三六判をカットする.pdf

タグ:兼用作業台
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