3.手によるビュランの研ぎ / 3. Sharpening the burin by hand [ビュラン研ぎと彫り]
円形砥石とアクリル板に貼った研磨紙
円形砥石とアクリル板に貼った研磨紙によるビュランの研ぎは、幾度も述べているようにダイヤモンド砥石は使用しません。ダイヤモンド砥石は研磨力が強いので、形を作り変えるなどの際にその誘惑に駆られますが、余程研ぎに自身が無い限り用いない方が賢明です。形が定まらず、手に負えなくなり研げば研ぐほどそこから抜け出せなくなります。
やはりオイルストーンの二つの層を使い分け、順次砥石の粒度を変えながら砥ぎます。ここでは、写真にある円形のオイルストーンと研磨紙を勧めます。先の記事でも述べましたが、慣れない内は耐水研磨ペーパー#2000までで研ぎ終えても構いません。
刃先角度が45°に出ていない場合、あるいは作りかえるときは黒い層であらかたの形を作ります。この層の砥石面は案外研磨力があります。大雑把な研ぎでよいので円を描くなどして研ぐと早く研ぎ落とせます。ある程度形が見えてきたら、赤い層に変えて丁寧に研ぎます。この段階でしっかり刃先角度を出します。この後の研ぎでは修正は無理です。
ビュランの刃先角度がしっかり出ているなら、先ず円形砥石の赤い方#800を使って研ぎます。断面の周囲に刃返りができれば、耐水研磨ペーパー#2000で断面、側面を研いで刃返りを取り、再度断面を研いで断面に回った刃返りを取り除きます。これで、ビュラン断面の中央から彫り屑が真っ直ぐ立ち上がるはずです。そのような彫りの状態にならなければ、大概はしっかり刃返りが取れていない所為です。その場合はもう一度刃返りを取り除きます。
少し研ぎに慣れてきて上の粒度のラッピングフィルム研磨紙#4000を用いて研ぐと切れの良い刃がつきます。
ここで述べている研ぎ説明は四角形以外のビュランについても同じことが言えます。丁寧に研ぐと連発ビュランも研ぐことができます。そして、木口木版で使用を諦めていた形状の異なるビュランも研げます。
ここで、耐水研磨ペーパー#2000を使用するのは刃返りを取るので、どうしてもラッピングフィルム研磨紙では傷つけてしまうからです。すでに説明したように、ビュランにドリルストッパを装着して研ぐと安定して研ぐことができます。これについては「ビュラン 手による研ぎ」やブログ内の記事を参照してください。
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