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ビュラン研ぎの考察 1 [ビュラン研ぎと彫り]

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鏡面に研ぎ上げた四角形ビュランの断面

鏡面に研ぎ上げたビュランの断面は、ダイヤモンド砥石#1000で研いだ後、耐水研磨紙研磨紙#2000あるいはラッピングフィルム研磨紙#2000で砥いだ後、#4000、そして#6000で仕上げた断面です。しかし、ラッピングフィルム研磨紙#4000で終えても良いと思います。研ぎ器とダイヤモンド砥石及び研磨紙を用いることでこのような仕上がりになります。ここまで研ぐ作家は稀かも知れません。ラッピングフィルム研磨紙での研ぎについては、このブログ内の「ビュラン研ぎ器でフィルム研磨紙を使う」の記事を参照して下さい.。


側面研ぎ器での研ぎ.jpg
側面研ぎ器での研ぎ

側面の研ぎでの断面拡大.jpg
ダイヤモンド砥石#1000で側面を研いだ際の断面への刃返り

ビュランに長く関わると、断面を研ぐよりも側面の研ぎが難しいと気付きます。手で側面を研ぐのは先ず十中八九無理です。どのように研いでも平面を、形を維持することが出来ないと思います。実際自分で研いだビュランの側面を見ると、その幅が違っていることがあります。断面から見ても歪な四角形に見えるかも知れません。と言うことは、二側面の稜線とビュラン本来の中心軸がずれていることになります。このようになると修正が難しく、同じ幅にしようとすると本来のビュラン軸の幅よりも狭くなります。その場合は先細りですが、腹と背の対角線が中心になるので彫ることは出来ます。それで、ビュランの側面は同じ条件、同じ研ぎ回数で研ぐということなります。そこでやはり何らかの側面研ぎ器を使用する方が賢明だと思います。はっきり言ってこの側面の研ぎは、5年、10年と続けても無理だと思います。

写真は私の考案した側面用の研ぎ器です。この研ぎ器はまっすぐ前後に研ぎますが、同じ位置で研がず場所を変えながら砥石全体を使うようにして研ぎます。その研ぎ器で側面を研ぐと、断面の下二辺に刃返りが出来るます。白く線となって見えるのが刃返りです。また、アメリカ製のビュランシャープナーも少し工夫すると十分使えます。そのビュランシャープナーを用いて軽い気持ちで、側面を研いだ時は仕上がりに驚きました。もし手元にビュランシャープナーがあるなら一度試して見てください。必ず私と同じ思いを抱くはずです。

何度も繰り返して述べていますが、この側面の研ぎは再々研ぐ必要が無く、一度しっかり研いでおけば長くそのまま使用できます。先にも述べましたが、側面の研ぎにはアメリカ製のビュランシャープナーを使っても良い研ぎが得られます。研ぎ器による側面の研ぎについては、このブログ記事の「ビュランシャープナーでの側面の研ぎ」 をご覧下さい。また技法書「ビュラン 手による研ぎ」、あるいは「ビュラン 研ぎと扱い方」にも同じようなことを述べています。


仕上げた側面.jpg
ダイヤモンド砥石#1000で研いだ側面

側面はダイヤモンド砥石#1000で研ぐと、写真のように側面の稜線がしっかり刃になります。手で研いだのではこのようにはいきません。ビュランに携わっている作家でも、手で研いでこのように仕上げるのは難しいと思います。また、このダイヤモンド砥石はしっかり平面が出ているので定盤の役目も果たしています。いずれにしても、手での研ぎでは側面の稜線が刃になりません。

このブログで紹介している研ぎ器は、本当にビュランに興味のある人に手にして欲しいと思います。そして、どこかで販売されるなら、ビュランの面白さ、愉しさが実感されると思います。

そして説明のようにして研いだビュランからは、彫り屑が断面の中央から自然とまっすぐ立ち上がります。しかし、このことに異を唱える人も居ます。「彫っている画像がありますが、切りくずがカールしていないのは問題です。この程度の研きかと思われてしまいます。」(原文ママ)と言われた事があります。切りくずがカールすると言うのは、技法書及びネットでも見かけます。良く研がれたビュランは、良く研いだ鉋の削り屑と同じだと思います。


※ 追記
側面の研ぎ関連は下記のブログ記事も参考にしてください。
ビュラン側面研ぎの検証
ビュラン側面研ぎ器の新しい使い方
ビュラン研ぎのまとめ
(2022.06.29)


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